道重さゆみ卒業公演感想 その2

 横浜アリーナを埋め尽くしたピンクのサイリュームさゆみんコールから、メンバー9人と12期の4人が真っ白な衣装で現れて『見返り美人』を披露しました。12期は踊りだけでしたが、思えば6期も圭ちゃんの卒業公演でラスト一緒にパフォーマンスをしたなあと12年前の光景を思い出しました。スクリーンに映し出された、りほりほの大粒の涙がまた感動を呼びました。
 着物に着替えたさゆがゆっくりと花道を歩く姿の美しさは、もはや言葉に表せない程でしたね。足が痛むのを堪えて曲中は最後までやりきりました。でも曲が終わると痛みに耐えかねて座り込んでしまうのですが、照明を暗転させるところに、この公演に懸けたさゆの矜持を感じ取りました。


 その後のメンバーからのお祝いの言葉は、さゆからメンバーへの言葉はほぼ無くて、基本的に聞くのみというスタイルでした。それがれいなの時とは違っていましたね。もしかしたらさゆも言葉をかける予定だったのが、足のアクシデントのために時間調整で削られたのかもしれません。でも、これはこれでメンバーの想いがシンプルに伝わってきて良かったと思います。さゆが後輩全員にとってかけがえのない存在であったことが痛いほどに伝わってきて涙を誘いました。
 

 一番印象的だったのがまーちゃんでしたね。結構しっかりと話していたのですが、最後に『卒業おめでとうございます』と言えなくて、言わなくてはいけないのは分かっているけれども、でも言いたくなくて、言ってしまったらさゆの卒業を認めてしまうから言うのをためらう姿がいじらしかったですね。でもまーちゃん、しっかりとさゆにお礼の言葉を言えていましたよ。良かったね、まーちゃん。
 

 うちのえりぽんは、さすがえりぽんでした(笑)。りほりほが泣きじゃくってさゆに抱き着いて感動が高まる中で、話し出そうとしたらさゆの足が限界にきて一時中断(笑)。さゆに『まさか生田のところで』と言われて会場は笑いに包まれました。そしてその後で結構いい事を言った後に『サブリーダー頑張ります』と力強く宣言したまではよかったのですが、さゆに『頑張って』と言われたら、『頑張って〜?』と、『イクタ!』を言わせようとするのが流石でした(苦笑)。それにすかさずさゆが『頑張ってください』と手を振りながらすかされたのに会場は大爆笑。さっきまでさゆの足のことで会場が悲壮感に包まれ出した空気だったのが一瞬でこれですよ。さゆの返しが完璧だったから笑いになったけれど、途中toumaは背筋がヒヤリとしましたよ(苦笑)。
 でも、これでさゆの怪我のことばかりが印象に残らずに空気が変わったのは事実でしたから、結果的に大ファインプレーではありました。これをえりぽんが自分だけの力で出来るようになれば良いのですが、まあ、ここはこれからも前へ前へと出しゃばる覚悟を披露したと前向きに捉えましょう(笑)。

 
 

 さゆの最後の挨拶は素晴らしいの一言に尽きましたね。原稿も一切持たずに約8分に渡り話していましたが、自身の想いやメンバー、そしてファンへの想いを、時に笑いを交えながら、でもまっすぐな気持ちを話してくれました。凄いなあ。もちろん手紙を読むのが悪いわけではありませんよ。この場合はさゆが凄すぎるのですよ。

 そして卒業ソングとして歌われたのは『赤いフリージア』。いわずと知れたさゆのオーディション曲です。さゆの卒業ソングはこの曲しか無いと誰もが納得の選曲でした。歌が苦手と最後まで広言していましたが、一つ一つのフレーズを丁寧に丁寧に歌うその姿は、まごうことない歌手のその姿でした。さゆの12年間のモーニング娘。の軌跡は、始まりのこの曲に戻って終焉するのですね。
 そして曲が終わると、今度は『歩いてる』のイントロが流れ出すではありませんか!さゆが大好きといつも言っていたこの曲も歌うんだね!さゆは欲張りだなあ(笑)、と微笑ましく思えました。そしてこれを9人のメンバーと一緒にパフォーマンスするさゆの幸せそうな笑顔が一杯でした。卒業ソングなのに、それすらもみんなで歌うことを選ぶのがさゆらしいですよね。


 そして本当に本当のラスト、『モーニング娘。として歌う最後の曲です』と紹介して歌われた『Happy大作戦』。この曲はまさにさゆがリーダーを務めてきた時期のメンバーのための歌です。れいながいた時は11人で、卒業後は10人で、一人一人の名前のコールが入る、まさに道重さゆみリーダー期の幸福感を象徴する曲であります。名曲であるこの曲はこれからも歌い継がれることでしょうが、でもこの曲を聴くたびに思い出すのはこの時代の幸福な時間なのでしょう。
 

 モーニング娘。が続く限り語り継がれるであろう道重さゆみと、道重さゆみがリーダーであったときのメンバー達との幸福な時間。横浜アリーナの全ての観客がその終焉を惜しむように鳴り止まぬ拍手の渦。最後に外周をゆっくりとまわるメンバー達は、その拍手と感謝の声のシャワーを浴びて輝いていました。さゆは涙を堪えながら笑顔で、最後まで笑顔でいました。足の怪我で満足なパフォーマンスが出来なかった悔しさもあったでしょうが、でも最後まで笑顔でステージに立ち続けてくれました。涙で潤んではいても最後まで笑顔でいたさゆを見られて良かったです。

 
 

 そしてさゆがステージから去って全てが終了したかと思ったその時、スクリーンに映し出される10人の集合写真。このツアーで見慣れた冒頭の映像には続きがあったのです!1人、また1人と、オープニングとは逆の順番でさゆの元から去っていくメンバー。そしてさゆは手に持っていた本をそっと椅子に置いて歩み去っていきます。
 その本の表紙には、『M。4329days  2003.01.19〜2014.11.26 sayumi michishige MORNING MUSUME。』と書かれていました。そう、冒頭で10人が楽しげに一緒に読んでいたのは、道重さゆみモーニング娘。の軌跡だったのです。さゆが読んで聞かせていたのは、まさに自身の本、すなわちモーニング娘。としての経験と矜持を後輩達に伝えていた、という意味だったのです。
 
 道重さゆみモーニング娘。の物語はここで終わるけれども、さゆの教えを受けた9人達は、これからは自分自身の物語を紡ぐべくさゆの元を巣立っていく、そういう意味だとtoumaは解釈しました。この解釈は人それぞれでしょうし、それで良いと思うのですが、toumaはそう感じました。9人が一緒に去って行かないのがまた印象的でしたね。制作側には特にそこまで深い意味はないのかもしれませんが、toumaには、後輩達一人一人が力強くさゆの元を巣立っていく象徴のように思えました。そしていつの日かに確実にくるであろう9人達自身のモーニング娘。からの卒業。まるでそれまでをも暗示しているかのようでした。
 こんなにも凝った映像を造ってもらえるなんて、さゆは本当にスタッフからも愛されていたんですね。


 
 こうしてあの日のことを改めて書いていても、あの公演の凄さを実感しております。さゆの怪我というアクシデントがあり、さゆ自身にとっては悔しい想いもあったと思いますが、でもこれからずっと語られるであろう名場面の宝庫のこの公演は、モーニング娘。の歴史に残る名公演であったと断言できます。そんな公演を現場で体感できて本当に良かったです。

 

 最後に、さゆ、本当にこの12年間ありがとう。道重さゆみと共にモーニング娘。を応援できたこの時間は、全てのファンにとっての宝物です。これからは自分の幸せのために目一杯自分の時間を使ってください。
 
 さゆが愛したモーニング娘。は、これからもたくさんの人達に愛され続けることは間違いありません。toumaもその一員として、微力ながら応援していきます。