5人の魅力がいっぱいの舞台でした

 ただいま長期休暇の真っただ中におります。仕事も忘れました(笑)。今はただただ好きに生きております。人間好きに生きられるって幸せなことですね。でも同時に分かっているのが、好きに生きてばかりでもダメになるなってことです。こうした束の間の自由だからこそ貴重で愛おしいんであって、365日ずっと暇だったら退屈で退屈で干からびちゃいます。所詮優雅には生きられない人生なんですね(苦笑)。
 こんばんは、toumaです。

  

 さてさて、この長期休暇を利用して大阪へ遠征をしてきました。もちろん娘。主演の舞台「ごがくゆう」を観劇するためであります。土日3公演を全て観てきました。今回の遠征は本当にたまたまでして、先に休みの日程を入れていたら大阪公演の日程が後から分かって、どうしようか迷ったんですが、今さらtoumaに娘。以外に楽しむ術があるわけでもありませんので(苦笑)、思い切って遠征した次第であります。結論から言いますと、観て良かったですね。劇として単純に面白かったですし何よりも娘。メンバーの5人の演技に触れることができたことが良かったです。
 

 
 まずはっきり言っておきますが、演技者としての5人には特別なことはありません。もちろん同年代のタレントさんに比べれば突出しているかもしれませんが、他の舞台女優達と比較してその演技が特別秀でているわけではありません。ガキさんの舞台をこの1年間観てきて若手の役者さん達の演技を観てきましたので、彼等や彼女達と比べるとその演技は稚拙でありますし、そこには厳然とした壁があるのは事実であります。
 
 しかし、この「ごがくゆう」が描く登場人物の女の子達を輝かせることができるのは、他でもない今の5人であったのは間違いないのです。どんなに演技力がある大女優さんでも、あの舞台上で娘。メンバーの5人が演じたどの役もこなすことはできません。あれは、今、この時、この瞬間の若者にしか演じることのできない役柄なのです。ですから仮に5年後にこの舞台を再演したとしても、今回の出演者の5人の誰も同じ役を演じることはできません。この一瞬の煌きの発露としての演技があり、それを真っ直ぐに観客に届ける舞台であったと思いました。だからこそ観終わった後に淡い清冽な余韻が残るのでしょうね。まさに今の若いモーニング娘。メンバーのためにこそ創られた舞台でありました。プロデューサーと脚本・演出の担当者が長年ハロプロと関わってきただけあって、この年代の娘達を活かす術を心得ていますね。そして共演者の皆さんもメンバーを上手く盛り上げてくれていました。千秋楽の舞台挨拶で何人かの共演者の方が泣いていたのを見ても、みなさんが真剣にこの舞台に臨んでいたのが分かりました。本当にありがたいことです。


 

 さて、今回の舞台の主役なんですが、touma的には鞘師里保工藤遥のダブル主演であったと思っています。りほりほ演じる姫フェイとくどぅ演じるお付きのリュウの成長と友情の物語が主軸となっています。なのでこの2人は本当に最初から最後まで出ずっぱりでした。セリフもたくさんありましたし、何より前半と後半で変化していく心情を演じるのは本当に大変だったと思います。 
 りほりほの演技には惹きこまれましたね。中盤までのホンワカして世間知らずのお姫様を可愛らしく演じていたかと思うと、後半でのパラレルワールドの世界での狂気に落ちていく様も素晴らしかったですね。リュウがいるからこそ安心して我がままを言っていられるけれど、リュウがいなければ冷徹な為政者の本性を剥き出しにしてしまうという二面性を良く演じていました。りほりほはやはり頭一つ抜けた力を発揮していましたね。そんな中でもtoumaは前半のリュウに甘えきっているフェイ姫を演じていたりほりほが好きですね(笑)。
 とにかく今回改めて感じたのは、鞘師里保の演者としての可能性の大きさでした。彼女の演技をまた次も観てみたいと単純に思わせてくれました。しかもモーニング娘。の看板を背負った彼女が観てみたいと思いましたね。今回は選出したメンバーによる劇団と共演するという形を取っていますが、モーニング娘。全員で臨む舞台に、モーニング娘。を背負って主演を張る鞘師里保が観たいですね。ちょうど「リボンの騎士」の高橋愛のようなね。いつか愛ちゃんの存在を超える存在となれると思わせてくれました。toumaは本当今回でりほりほの魅力に完全にやられてしまいましたよ(汗)。



 くどぅ演じるリオンは、幼くしてフェイ姫のごがくゆうとなり、今はお付き兼身辺警護役のようになっている役でした。従順に従っているが実は自分の境遇を嫌っていて、そのためフェイ姫のことも大嫌い、と思っている娘でした。父親の親衛隊長に姫と同じ顔に変える様迫られて、逃げ出すためにフェイ姫の逃亡を利用しようとするのでした。くどぅの演技は、まあ前回のステーシーズと変わらないと言いますか、良くも悪くも、「THE・工藤遥!」っていう演技なんですよね。だから今回の5人の役のどれを演じても同じような印象を持つのではないでしょうかね。それが彼女の課題でもありますが、また大きな魅力でもあります。
 彼女の場合は、工藤遥の魅力で演じている役柄を観客にザックリと納得させてしまうのです。それが魅力でもあり欠点でもあるのですが、魅力の方が何倍も勝っていますし、だからこそ今回もこの重要な役を与えられていたのだと思います。今はその荒々しい魅力でぶつかっていく演技でよいと思います。なんといってもまだ13歳なんですからね。でもあと5年もしたら本当に素晴らしい演者になっているかもしれませんね。これからもくどぅの演技は観ていきたいと思わせる素敵なリオンでありました。


  あゆみん演じるクリアは町の定食屋の看板娘役でした。ガサツで口は悪いが父親想いの真っ直ぐな娘を演じていました。あゆみんは昨年のステーシーズの舞台でも共演者からその感の良さを絶賛されていました。今回も実は一番安心して観ていられたのが彼女でしたし、普段のスベリガールっぷりが嘘のようなコミカルさで笑いも獲っておりました。知らない人が観たら、モーニング娘。のメンバーじゃなくて、劇団の看板娘なんじゃないかと思ったでしょうね。それくらい舞台に馴染んでいましたね。彼女のこの演技力を何とか活かせる活動を娘。はもっともっと見つけていけると良いですね。あゆみんにとっても娘。にとっても良い方向になると思うんですよね。

 
 はるなんは、役はクリアの友人役で特別重要な役ではないのですが、物語の円滑油的な役だったのでおいしいポジションにいたと思います。セリフまわしは普段のはるなんっぽいのですが、それが役にピッタリで良い役をもらえたなあと思います。正直観る前までは、高校を卒業して学業から解放された唯一の9期以下のメンバーだから選ばれたのかなと思っていましたが、この舞台を通じて大きく成長したように見受けられました。自覚を持って一つ一つの仕事をこなしているので成果がしっかりとついてきていますよね。実力面で一番伸びているメンバーの一人かもしれませんね。
 あと思ったのが、とにかく彼女がいるとグループとして安心感が生まれるってことです。さゆもいなくて若手のみの娘。なのですが、彼女がいることで安定感をもたらしてくれているのが分かりました。舞台上では娘。メンバーは5人しかいないのですが、何故かこれからの娘。の安定ははるなんが担っていくんだろうなって漠然とではありますが感じさせる存在感でしたね。はるなんにとっては本当に意味のある一か月間だったんじゃないでしょうかね。

 
 フクちゃんはフェイ姫の異母姉役でした。継母の王女への反感から王位継承権争いに関わりを持つものの、本人としては野心はなくて穏やかに生きることを望んでいる役柄でした。フクちゃんの出番は決して多くはないのですが、役どころとしては物語の展開を支える重要な役でありました。ただ、フクちゃんの演技は正直今回のメンバー5人の中で一番学芸会的でしたかね。感情的に話さない役なのでどうしても一本調子の言葉になりがちだというハンディがあったとは思いますが、最後まで「フクちゃんが話しているな」っていう印象のまま終わってしまいました。もちろんこれからの努力で演技力はどうにでも変わるものでしょうし、何よりお姫さまの格好をしたフクちゃんは素晴らしく似合っていました。あの役はフクちゃんこそ相応しいと思ったのは事実であります。フクちゃんはその気品が魅力の源泉なのだなあと改めて感じましたね。正装のドレスを着ているから品良く見えるんじゃないんですよ。持って生まれた気品が彼女にはあるんですよね。これからの娘。の気品を担う貴重なメンバーとして期待していきたいですね。




 娘。がミュージカルや舞台をこなすのは初期のころからの伝統であります。これは結構他のアイドルグループには見られない特徴であります。人気絶頂でTV出演が多忙を極めているころから行われていました。儲けを考えると割に合わないのが舞台ですが、メンバーの成長や卒業後の進路を考えるととても貴重な経験であるのは間違いありません。そしてファンとしてはメンバーの表情や感情表現をじっくりと見ることができる時間であります。特に今回はミュージカルではなく普通の舞台でしたので、二時間メンバーが演じる役を通して彼女達をより深く感じることができました。コンサートとはまた違った魅力が舞台にはありますよね。
 ぜひ来年もまたモーニング娘。として舞台を行って欲しいですね。出来たら今度は9期以下全員のメンバーで実現して欲しいです。いろいろ困難もあるのは重々承知していますが、やっぱりメンバー全員で作り上げる舞台の経験を全員で共有して欲しいですからね。

 
 とにもかくにも、りほりほ、くどぅ、あゆみん、はるなん、フクちゃん、本当におつかれさまでした。