「TRIANGLE」観てきました。

 演劇女子部ミュージカル「TRIANGLE」観劇してきました。6月20日(土)にαとβの両公演を観ることができました。チケットは平日も含めて全て早々に完売ということで、ここ数年では「ステーシーズ」以来質の高い舞台を継続してきた現モーニング娘。のメンバーによる舞台であるという信頼のなせるわざでしょう。そして昨年の「LILIUM」の衝撃が強烈にあるので「見逃してはならない!」という我々ファンの心理も大きく影響されたのは容易に想像されます。
 それらを冷静に分析しながらも、やはり演劇の世界で全公演が完売というのは凄いことですので、これはもう今の娘。達への期待値の高さが半端ないことの証ですね。ファンとして本当に誇らしいの一言です。

 

 さて、まずは私の率直な感想を先に述べさせていただくと、これはαとβの二作で一作の作品になるな、というのがtoumaの感想であります。ですからαだけでもβだけでも物足りない部分はどうしてもありますし、逆に両方観ることで二倍三倍の余韻に浸れる効果もあるというやっかいな構成になっております。ですからどちらか1公演しか観ることが出来なかった方ですと、その感想は少し厳しいものになってしまうかもしれませんね。

 って言っていますが、決してダメだししているわけではありませんので誤解のないように。作品の世界観もストーリーもゆったりと穏やかなもので安心して観ていられますし、何もラストに衝撃的な出来事があることだけが良い舞台なわけではないですからね。むしろストーリーとしては、人を好きになるという気持ちを軸にして、人の心を丁寧に描こうとしているので、むしろ今までの娘。の舞台にはなかった意欲作と言ってもいいかもしれませんね。
 キャッチフレーズの「触れれば、ココロが、あふれだす」と、実際の作品の内容とが見事にマッチングしているのも、娘。の舞台では珍しいかもです(笑)。音楽も見事にマッチしていまして、会場で売っているCDは絶対に買うことをお勧めいたします。

 
 
 そんな今回の舞台の主役はあゆみんとくどぅとりほりほの3人です。3人ともさすがの演技と歌唱でしたね。特にあゆみんは普段のキャラとは真逆の役がらでしたが、純真でまっすぐなサクラ姫を上手く演じていたと思います。勘所が良いので彼女がいると舞台がすっと気持ち良く流れていくんですよね。初めての主役大抜擢でしたが、それに見事に応えてくれています。

 くどぅはねえ、αを観たときは、「なんだこのイケメン優男がぁ!!」と思わせるのですが(笑)、βのラストの男らしさは、男でも惚れてしまいますね。βは間違いなくくどぅ演じるアサダが主役ですから、彼女の演技が重要なのであり、αと同じ場面でありながらβでは異なる感情の揺れを表現するなど、難しい役側だったと思いますが、これまた難なくこなしてしまいましたね。もちろん膨大な努力があってのことでしょうが、くどぅの演技には持って生まれた才能もあるので素晴らしいんですよね。才能が発揮される場所に立ち会うのは気持ちがいいですよ。


 りほりほの男役にやられた女性も男性も多いんじゃないでしょうかね。αでは殺陣も披露していて様になっていましたよ。サクラ姫への不器用な愛を抱えるキリ中尉を演じられるのは、今の娘。ではりほりほだけでしょうね。このまま男役が板についても違和感はないと思わせてくれました。まあtouma的には次は女性役を観たいと思うっていますが(笑)。
 

 ストーリーとしてはこの3人を中心にまわるという前提なのですが、二作を通して観てみると、ここにもう一人の登場人物が重要なキーパーソンになってくるんですよね。

 

 それが、さくらちゃん演じる「ローズウッド」です。この娘がね、もうね、いいんですわ。このローズウッドの存在があってこその今回の舞台の成功であったとtoumaは断言いたします。
 トライアングルとは、サクラ姫(あゆみん)とアサダ(くどぅ)とキリ中尉(りほりほ)の3人のことでありながら、実はサクラ姫とアサダとローズウッド(さくら)の3人をめぐる物語でもあったんですね。特にβではその色が濃く出ていて、その分りほりほ演じるキリ中尉とサクラ姫との関係性が描き切れていないきらいがあったのが少し残念ではありましたね。
 でも視点をアサダとローズウッドに向けて改めて思い返してみると、とても心地よい感じになるんですよね。まだ1回しか通して観ていませんから今後変わることもあると思いますが、現時点ではtoumaの中では、この2人の物語としての軸が出来上がっております。またさくらちゃんの演技と歌がいいんですわ。
 贅沢を言えば、ここに惑星αの未来を背負っていくサクラ姫の決意とか、サクラ姫へのキリ中尉の想いとか、この2人の関係とかを、もう少しだけでも描けていたらなあとちょっぴり残念ではあります。でも、もしかしたらそれはセリフとしては現われていないだけで、演出上では触れられているのかもしれませんね。全部を言葉にしないのも舞台ですし、自身の脳内で補完していくのも舞台の醍醐味であるのだと思います。ガキさんの舞台を観てきて、ほんのちょっぴりですがそう感じています。なのでそうした脳内補完をするためにももう1回づつ観ておきたいですね。こう思わされてしまっている段階で演出者の思う壺なのでしょうがね(苦笑)。


 以上、ざっぱくですがtoumaの感想でした。もちろん他にも想うことは多々あるので、また少しづつ書いていければいいですね。少し批評めいたことも言いましたが、全体を通した感想としては、娘。達が質の高い舞台に挑戦している様子が心地よい舞台であることは間違いないです。
 今回の舞台は、勢いとか若さとか派手な演出とか、大どんでん返しとかではなくて、人の想いや心を丁寧に丁寧に描こうとしている作品です。それはメンバーの演技や歌といった基礎の土台ができているからこそ成せることであり、グループとして舞台やミュージカルに長年取り組んできた歴史があればこそです。そして同時に、観劇する側のファンの土壌があってこそ受け入れられる舞台だと思います。私達観劇する側の経験値も上がっているからこそ提供された作品であることは間違いないでしょうね。
 これから観劇される方はぜひ楽しんできてください。toumaもあと1日は観に行きたいですね。